『スウィーニー・トッド』
『スウィーニー・トッド』(2007年)を観る。ティム・バートン監督。出演はジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーターほか。無実の罪で入獄させられた理髪師が、自分を陥れた判事に復讐をする機会をうかがいながら、ミートパイ屋の女と手を組んで、二階に殺人理髪店、一階に人肉ミートパイ屋を営むという、まあ、ひどい話。
けれどもバートン的世界のミュージカルという趣向がまずありきなので、ストーリーの妙はさほど期待すべきではないのかも。細部まで作りこんだ世界観の構築という点では、まず満足点。ヴィクトリア朝ロンドンの、寒さ、暗さ、ドブくさい臭い、ぬめぬめ感が、触覚レベルで感じられる映像はさすがである。
それにしても、バートン監督といえば、シザーハンズやナイトメア・ビフォー・クリスマスなど、グロい表現と同居する異形のものの悲しみや、無器用な愛情といったモティーフが、人気の秘密だったと思うのだが、今回はグロ全開のまま、最後にほとんど主要人物の全員が死んでしまって、まったく救いがない。
ミートパイ屋の女が途中で夢みる、南国での安逸な日々というシーンが、わずかなユートピア的要素だったか。強い日射しのなかでの、白塗りジョニー・デップの居心地の悪そうな佇まいがよかった。
だけども要は、ティム・バートンが、殺人理髪店と人肉ミートパイという組み合わせを気に入って、あと、ガクンと死体を落っことすメカニックな椅子を作りたかっただけなのかもしれない。メカ好きだし。


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